WHAT YOU WILL LEARN
この記事で分かること
- ✓返済額と家賃を並べて比べると、何を見落とすか
- ✓毎年かかる維持費のおおよその桁
- ✓完済したあとも続く支出があること
「家賃12万円を払い続けるより、返済11万円で持ち家のほうがいい」
住まいを考えるとき、この比べ方をしたことがある方は多いと思います。ただ、この式には両側に載っていないものがあります。持ち家には、返済とは別に毎年出ていくお金があるからです。
この読みものでは、その「別に出ていくもの」を並べます。持ち家がよい・賃貸がよいという話はしません。
まず結論
住宅ローンの返済額と家賃を直接比べると、持ち家側の負担を小さく見積もります。
比べるなら、返済 + 固定資産税 + 保険 + 管理費 + 修繕の積み立てと、家賃を並べてください。
ポイント| どちらが得かではなく、両方を同じ物差しに載せることがこの記事の目的です。
返済のほかに、毎年出ていくもの
横にスライドして確認できます
| 項目 | 性質 | 賃貸では |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年。市区町村へ | かかりません |
| 火災保険・地震保険 | 毎年または数年分をまとめて | 借家人向けの保険がかかります |
| 管理費・修繕積立金 | 毎月(マンション) | 家賃に含まれます |
| 修繕・設備の入れ替え | 不定期。まとまった額 | 大家の負担です |
戸建てには管理費や修繕積立金がありませんが、**そのぶん自分で積み立てておく必要があります。**外壁、屋根、給湯器。いずれ必ず来る支出が、毎月の請求として来ないだけです。
桁の感覚
- 固定資産税は、個人が持つ住宅と土地の平均で見ると年10万円前後が1つの目安です。ただし土地の評価額で大きく変わり、都市部ではこれよりかなり高くなります
- 火災・地震保険は、家計調査で持ち家世帯を含む平均が年1万5千円ほどです。掛け捨てぶんの数字で、建物の構造や補償内容で変わります
どちらも「あなたの家の金額」ではありません。桁を間違えないための目安としてお使いください。正確な額は、納税通知書と保険証券に書いてあります。
買うときに一度だけ出ていくもの
毎年の話とは別に、購入の年にまとまって出ていくお金があります。
- 頭金
- 登記費用、仲介手数料、ローンの事務手数料、保証料、印紙税、不動産取得税など(諸費用)
- 引っ越し費用、カーテンや照明、家具の買い替え
諸費用については、公的な統計に平均額が公表されていません。「新築なら価格の3〜7%」といった目安が広く流通していますが、出どころをたどれる一次情報が見つからなかったため、マネタイプでは金額の目安をお出ししていません。
見積もりの段階で、不動産会社や金融機関から実額の内訳をもらってください。ここは推定ではなく実額が取れる項目です。
完済したあとも、ゼロにはなりません
住宅ローンを完済すると返済はなくなりますが、固定資産税、保険、管理費、修繕は続きます。
老後の家計を考えるとき、「ローンが終わるから住居費はゼロ」と置くと、実際とずれます。完済後も年10〜20万円台の住居費が続くと見ておくほうが、あとで慌てずに済みます。
とくにマンションは、修繕積立金が築年数とともに上がる設計になっていることが多く、老後にかけて負担が増える方向です。長期修繕計画があれば、いつ・いくらに上がる予定かが書かれています。
賃貸側にも、載っていないものがあります
公平のために、賃貸側も並べます。
- 更新料(2年ごとに家賃1か月分など。地域によって慣行が違います)
- 火災保険(借家人賠償責任保険)
- 引っ越しのたびの敷金・礼金・仲介手数料
- 高齢になってからの住み替えのしやすさ
賃貸は住み替えられることが最大の柔軟性ですが、その柔軟性を使うたびに費用がかかります。何年ごとに住み替えるかで、実質的な負担はかなり変わります。
チェックリスト
いまの住まいのお金を並べてみてください。持ち家の方は上、賃貸の方は下です。
持ち家の方
- 毎月の返済額(ボーナス払いがあれば、それも年額で)
- 昨年の固定資産税・都市計画税(納税通知書)
- 火災・地震保険の年額(数年契約なら年数で割る)
- 管理費・修繕積立金(月額)
- 直近5年で、修繕にいくら使ったか
賃貸の方
- 家賃・共益費(月額)
- 更新料(何年ごとに、いくらか)
- 火災保険の年額
- 次に住み替えるとしたら、いつごろか
書き出せたら、年額の合計を出してみてください。月額だけを見ているときとは違う数字が出るはずです。
買うかどうかは、これだけでは決まりません
ここまで金額の話をしてきましたが、住まいの選択は金額だけで決まるものではありません。
通勤、子どもの学校、親の介護、勤務先の見通し、その土地に住み続けたいかどうか。どれも金額に換算しにくいものばかりです。
この記事でお伝えしたかったのは、比べるなら同じ物差しでということだけです。そのうえで何を選ぶかは、ご家庭の事情で決めていただくところです。
今日のはじめの一歩
- 納税通知書か、保険証券を1つ探す
- 年額をメモする
- 毎月の返済額(または家賃)に、その年額の12分の1を足してみる
足した数字が、あなたの住まいの実際の月額に近いものです。今日はそこまでで十分です。