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60歳を過ぎると、収入はどう変わるのか

2026年8月14日 更新読了 約8マネタイプ編集部

WHAT YOU WILL LEARN

この記事で分かること

  • 継続雇用で賃金水準がどのくらい変わるという調査があるか
  • 働く期間を延ばすと、家計に二重に効く理由
  • 「何歳まで働くか」を見通しに入れておく意味

老後の見通しを立てるとき、「何歳まで働くか」はいちばん大きく効く項目の1つです。ところが、60歳以降の収入がどうなるかは意外と知られていません。

この読みものでは、継続雇用で何が起きるか、そして働く期間を延ばすことが家計にどう効くかを整理します。

まず結論

  • 定年後も同じ会社で働く場合、賃金の水準は下がることが多いという調査結果があります
  • 働く期間を延ばすと、家計には二重に効きます(収入が増える + 取り崩す期間が短くなる)
  • 会社員として働き続けると、年金の加入期間も延びます

ポイント| 「あと2年働く」は、見通しのうえでは「支出を減らす」よりも大きく動くことがあります。

継続雇用のあとの賃金水準

労働政策研究・研修機構(JILPT)が企業に対して行った調査では、60歳まで正社員として勤め、継続雇用でフルタイム勤務を続けた人について、61歳時点の賃金水準は60歳直前を100としたときの平均で78.7という結果が出ています。

同じ調査で、「最も高い水準の人」は89.6、「最も低い水準の人」は70.8となっています。会社によって幅があるということです。

いくつか注意点があります。

  • 額面ベースの数字です。手取りでは、税や社会保険料の累進性のぶん下がり幅は小さくなります
  • 2020年3月公表の調査です。高年齢者雇用安定法の改正が続いているので、いまの実態とはずれている可能性があります
  • 企業が「平均的な水準の人」について答えた値で、個人の実額の平均ではありません

それでも、**「60歳を境に、同じようには続かないことが多い」**という方向は押さえておく価値があります。

働く期間を延ばすと、二重に効く

見通しのうえで、働く期間を1年延ばすと2つのことが同時に起きます。

  1. その年の収入が増える — 貯蓄を取り崩さずに済みます
  2. 取り崩しを始める時期が1年遅れる — 資産が減り始める年が後ろへずれます

家計の見通しでは、この2つ目のほうが大きく効くことがあります。65歳から取り崩すのと67歳から取り崩すのでは、100歳までの取り崩し年数が2年ぶん短くなるからです。

マネタイプの完全版レポートでも、「もし働く期間を2年延ばせたら」を打ち手の候補に入れています。実際に計算し直してみると、固定費を月1万円減らすより効く世帯が少なくありません。

年金の加入期間も延びます

会社員・公務員として働き続けると、厚生年金の加入期間が延びます。将来受け取る年金額が増えるということです。

年金は、次の2つでできています。

横にスライドして確認できます

何で決まるか
老齢基礎年金加入していた月数(最大480月=40年)
老齢厚生年金在職中の報酬と加入月数

継続雇用で賃金が下がっても、厚生年金に加入していれば加入月数は積み上がります。賃金が下がることと、年金が増えることが同時に起きます。

なお、受け取りを遅らせる(繰下げ)と1か月あたり0.7%増えます。働いている間は年金を受け取らないという選択もありますが、これは寿命の見込みや健康状態との兼ね合いで決まるところなので、一般論では判断できません。必要になったら年金事務所でご相談ください。

「働けるかどうか」は選べないこともある

ここまで「働く期間を延ばす」と書いてきましたが、これは本人の意思だけで決まるものではありません。

  • 健康状態
  • 勤務先の制度(継続雇用の上限年齢、職務の内容)
  • 家族の介護など、生活の事情

だから、見通しを立てるときに「70歳まで働く前提」で組むのは危ういと考えています。働けたら良い方向にずれるという置き方のほうが安全です。

マネタイプでは、就労を延ばす打ち手を「取りかかりやすさ」の中くらいに置いています。本人の意思だけで今日決められる固定費の見直しとは、性質が違うためです。

60代の家計で見ておきたいこと

賃金が下がる時期と、年金が始まる時期は必ずしも重なりません。この間の期間が家計としては要注意です。

  • 60〜64歳: 賃金が下がるが、原則として年金はまだ始まらない
  • 65歳〜: 年金が始まる

この数年間、収入が最も細くなることがあります。退職金を受け取った直後でもあるので、手元にはお金があるように見えますが、そこから何十年ぶんを取り崩していくことになります。

「退職金が入ったから大丈夫」と感じる時期こそ、見通しを一度引き直しておく価値があります。

配偶者の働く期間も、同じだけ効きます

見通しを立てるとき、ご本人の就労年齢だけを動かして考えがちですが、配偶者がいるご家庭ではそちらを動かしたときの効き方も同じ構造です。収入が増え、取り崩しの開始が遅れます。

ただし、この項目は本人の意思だけで決められないことが多いところです。ご家庭の事情、健康、それまでの働き方によって、選べる範囲は大きく変わります。

数字としてどれくらい効くかを知っておくことと、そうすると決めることは別です。選択肢の1つとして見えている状態にしておくだけで、いざ考えるときの出発点になります。

今日のはじめの一歩

  • 勤務先の継続雇用の制度を確認する(何歳まで、どんな条件か)
  • ねんきん定期便で、いまの年金の見込みを見る
  • 「何歳まで働くつもりか」を1つの数字として書いてみる

3つ目は決めきらなくて構いません。仮でも数字が入ると、見通しが立てられるようになります。

執筆: マネタイプ編集部

最終更新 2026年8月14日

公的情報の確認日: 2026年8月14日

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