WHAT YOU WILL LEARN
この記事で分かること
- ✓50歳の前と後で、載っている金額の意味が変わること
- ✓年金が2階建てになっている理由と、どちらがどう決まるか
- ✓自分の見通しに使うとき、どの数字を持ってくればいいか
毎年、誕生月に届くねんきん定期便。封を開けずにそのまま置いている方も多いのではないでしょうか。
ここに載っている数字は、老後の見通しを立てるときに他では代えがきかないものです。統計の平均ではなく、あなた自身の記録から計算された金額だからです。この読みものでは、どこを見ればいいかだけを整理します。
まず結論
- 50歳未満の定期便に載っているのは「これまでの加入実績にもとづく額」です。これからの分は入っていません
- 50歳以上の定期便は「いまの働き方が60歳まで続いた場合の見込額」です
- 見通しに使うなら、この違いを取り違えないことがいちばん大事です
ポイント| 50歳未満の方が、そこに書かれた額をそのまま「老後にもらえる額」と読むと、実際よりかなり小さく見えます。
年金は2階建てになっている
定期便を読むには、年金が2つの部分でできていることを知っておくと早いです。
横にスライドして確認できます
| 階 | 名前 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 1階 | 老齢基礎年金 | 加入していた月数(最大480月=40年) |
| 2階 | 老齢厚生年金(報酬比例部分) | 在職中の報酬と加入月数 |
1階は、収入がいくらであっても同じ計算です。40年間すべて納めた場合が満額で、納めていない月があるとそのぶん減ります。
2階は会社員・公務員として働いた期間にだけ積み上がります。自営業やフリーランスの期間、扶養に入っていた期間には積み上がりません。
報酬比例は、時期で計算が変わります
2階の計算に使う率は、平成15年(2003年)4月を境に変わっています。それ以前は賞与を含まない月給だけで計算し、それ以後は賞与も含めた額で計算するようになったためです。
定期便の金額はこの切り替えを織り込んで計算されているので、ご自身で計算し直す必要はありません。ただ、転職や働き方の変化が多い方ほど、実績と印象がずれやすいという点は覚えておくとよいかもしれません。
50歳未満の定期便の読み方
載っているのは「ここまでの加入実績で計算した額」です。
いま35歳の方なら、13年ほどの実績しか反映されていません。65歳まで働くなら、あと30年ぶんが積み上がります。そのまま老後の収入として見ると、実態の半分以下になることもあります。
見通しを立てるときは、次のように考えます。
- 1階(基礎年金)は、60歳まで納め続ければ満額に近づきます
- 2階(厚生年金)は、これからの働き方と収入で積み上がります
- だから定期便の額は「いまやめたら」の数字です
50歳以上の定期便の読み方
50歳を過ぎると、いまの加入条件が60歳まで続いた場合の見込額に切り替わります。こちらは老後の収入としてそのまま使える性質の数字です。
ただし前提があります。
- いまの働き方が続く前提です。転職や退職で変われば額も変わります
- 65歳から受け取る前提です。繰上げ・繰下げをすれば変わります
繰下げ受給を選ぶと1か月あたり0.7%増え、繰上げ受給では減ります。これは一生続く増減なので、寿命の見込みや働ける期間との兼ね合いで判断するところです。ここは一般論では決まらないので、必要になったら年金事務所でご相談ください。
「10年」という条件
老齢年金を受け取るには、保険料を納めた期間などが合計10年以上必要です。
以前は25年でしたが、2017年に10年へ短縮されました。「昔、条件を満たしていないと言われた」という記憶がある方は、いまの条件で確認し直す価値があります。
見通しに使うときは、実額を入れる
家計の見通しを立てるとき、年金額は統計から概算することもできます。ただ、概算はどうしても粗くなります。
理由は単純で、いつ・どのくらいの収入で・何年働いたかは人によってまったく違うからです。転職の回数、扶養に入っていた期間、自営業だった時期。どれも年金額を大きく動かします。
ねんきん定期便の額は、その人固有の記録から計算されたものです。手元にあるなら、概算より必ずそちらを使ってください。
マネタイプのしっかり診断でも、年金は統計にもとづく概算で計算しています。プレミアムでは、定期便の実額を入れていただくと、概算から実額の試算に切り替わります。
記録に抜けがないか確認する
定期便には、これまでの加入記録も載っています。転職が多い方、社名が変わった会社にいた方は、期間が飛んでいないかを一度確認しておくと安心です。
心当たりがあるときは、ねんきんネットで詳細を見るか、年金事務所に問い合わせてください。この記事では個別の受給相談まではお答えできません。
今日のはじめの一歩
- 直近のねんきん定期便を探す(誕生月に届きます)
- ご自身が50歳未満か以上かを確認する
- そのうえで、載っている額が「これまでの実績」か「60歳までの見込み」かを読む
どちらなのかが分かれば、その数字をどう扱えばいいかが決まります。今日はそこまでで十分です。